主な研究内容
【地下水流動機構の解明、水と人間との関わりに関する科学的理解】●同位体水文学(水循環機構の解明)
●地下水年代トレーサー(地下水・湧水の年齢の解明)
●地下水流動シミュレーション(持続的利用のための将来予測)
●水利用と生活(野外巡検・調査を基にしたデータ収集・考察)
河川や地下水は、流動過程において、溶存成分や同位体組成を変化させながら、やがては海へと流出したり湧水となって地上に出現したりします。当研究室では、様々な科学的な手法を用いて水循環系を明らかにすることで、地域が抱える「水」に関連する環境問題の解決に挑みます。
例えば、普段は目に見えない「地下水」は、井戸を掘ることで得ることができますし、場所によっては湧水として湧出します。近年の温暖化に伴う降水量の大きな年変化によって地表水の流量変動幅が増大していますが、地下水は広大な帯水層を有し、バッファー的な効果が大きいため、相対的に安定した水資源として注目されるようになってきています。この地下水の流動-流出機構を明らかにするために、水質組成や同位体比の分析を実施します。
また、循環速度の解明のために地下水(湧水)の年齢の解明も行います。水の年齢を測定できる機関は全国的にもごく限られていますので、この手法は新たな知見をもたらしてくれるものと期待できまし、積極的に長崎大学から成果を発信していきます。
※地下水の年齢推定方法について、詳しい説明ページを作成しました!
本研究室では、現地調査(フィールドワーク)により得られた試料水の分析や、機器を用いた自動計測により得られたデータの解析を通じて、水環境の保全と持続的に水資源を利用するための政策・手法を科学的な実証データを基に提示します。
「水」はなくてはならない貴重な資源です。地域住民の「水」に対する疑問に対して、専門性の高い科学的アプローチにより回答を見出すことで、得られた研究成果を地域に還元することも大学の大切な役割だと考えます。
本研究室の研究内容は、水資源保全対策の観点から社会的ニーズに関わることの多い分野です。興味を持たれた方は是非本HPの内容をのぞいてみてください。他大学から編入されたい学生さんも歓迎いたします。
就職先
環境コンサルタント会社、国家公務員、地方公務員(水道局)、地元企業、大学院進学など
本研究室では「水」をテーマに、多角的な科学的アプローチにより研究を進めます。その中では理系的な専門知識・手法のみならず、地域の形成史や地元の方々への聞き取り調査など、人間生活とのかかわりにも注視しながら幅広い視野に立った研究活動を展開します。社会人として必須となるプレゼン能力も徹底的に鍛え、即戦力となる人材の育成に努めます。
※2022年度は、3名が大学院進学です。
学生の皆さんは様々な希望進路があるため、学業に専念し切れない時期もありますが、臨機応変に対応しております。研究室活動も大切ですが、進路関係は学生の一生に関わるイベントですので、優先できるような環境づくりに努めています。進路関係がひと段落したら、研究活動に全力投球しましょう。今後、新しく配属される学生さんが希望通りの就職先に就けるように、全力でサポートします!
※環境科学部の就職率は高いです。先輩方の主な就職先はこちら
分析装置(まだ一部です。今後も追加します)
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水の年齢測定システム
水に溶存するフロンガス(CFCs)や六フッ化硫黄(SF6)は1950年頃から人工的に造られたガスで、年々大気濃度が増加しているので、その濃度を測定することで、いつの年代の大気濃度と同レベルかを対比することで年齢の推定に繋がります。
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イオンクロマトグラフィー
水に溶存するイオンは、流動過程において地質や人為的な影響により変化します。つまり、溶存イオンを測定することにより、その水がどのような流動経路を経て流動してきたかを推定可能となります。
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気温・湿度ロガー
気温と湿度を自動的に計測するロガー(記録計)です。写真は長崎市で観測史上最大の積雪深を記録した日に撮影しました。秋田出身の私でも厳しい寒さでした。